「ここで吠えてもいいですか?」アラビア語にはない “P” の発音の話

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ラビア語には「P」の発音がありません。そこでアラブが英語を話すと、「P」の付く音は全部「B」に置き換えられます。たとえば「people」(ピープル) は「Beople」(ープル) に、「Pepsi」(ペプシという飲み物) は「Bepsi」(プシ) に、「computer」(コンピュータ) は「comButer」(コンュータ) に。

欧米人の友達の間では、わざとアラブ式の発音をして笑いをとるのが流行っています。ちょうどイギリス人がフランス人のフランス語なまりの英語を皮肉って笑うのと同じような感じです。

こんな有名な (?) ジョークがあります。イギリスに旅行したアラブがレンタカーをしました。道路に立っている警察官に「ここに駐車してもいいですか?」と聞きます。ところがアラブの発音だと「park」(駐車する) は「Bark」(吠える) になります。

アラブ:「Can I BARK here?」(ここで吠えてもいいですか?)

警察官:(けげんそうに)「Well… Of course you can bark. It’s a free country.」(吠えたきゃ吠えてもいいけど。何をしても自由なだからね)

このジョーク、飽きることもなく私たちの間ではしょっちゅう使われ、ゲラゲラと笑っています。シュールや…。

面白いのが、観光業に携わるヨルダン人(パレスチナ人)たち。彼らのほとんどは英語を学校で学んだというより、耳から聞いて学びました。ですから書くことはすごく苦手。そんなアラブとメッセージのやり取りをすると、彼らが P と B の間で混乱しているのが分かります。

例えばワディラムのベドウィンに、ワディラムの気球乗りについて問い合わせたときのこと。Balloon (バルーン) を Palloon と書いてきました。「Balloon と言っているけど、もしかしてこれは俺たちアラブの間違った発音で、本当の英語では Palloon なんだろう…」と理解したようです。可愛い…(笑)

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このアラブ式の英語、慣れると全然問題ありませんが、初めて聞く人たちは戸惑うと思います。慣れてしまうと、今度は英語もアラブ式にした方が通じるので、自分の英語の発音がめちゃくちゃになるという弊害が生じます。特に私は、こうした癖のある発音や一風変わった単語を真似するのが好きで(変な趣味!)、真似をしているうちにそれが自分の一部になってしまうという…。

中東で生活しているうちに、アラブに限らずいろんな人たちの癖のある英語を吸収してきたので、かなり変な英語を話すようになってしまった…と思います。もはや日本人の話す英語とは思われない。一応英国に語学留学をしていたという変な自負(?)もあり、20代の頃はイギリス英語に凝っていたものですが、今となってはその面影は全くありません…。

とはいえアラブの友達によると、アラブの間でも「P」の発音を意識的にするようになってきているのだそう(2008年の情報)。多分若い世代ですね。いつかこのジョークで笑えなくなる時が来るのかもしれません。

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