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お問い合わせをくださるお客様の多くは、旅の上級者です。ヨーロッパは一通り回ったので、次は少し趣を変えて中東へ……そんな方がとても多い。
一方で、「海外旅行の経験はそれほど多くないけれど、行くなら中東に行ってみたい」そんな風に考えている方も、実は少なくありません。
では、中東に足を踏み入れる最初の一歩としてエジプトとヨルダン、どちらを選ぶべきか?
これは、その方の海外旅行の経験値や関心の分野によって答えが変わります。
ただし――
中東が本当に初めて かつ 海外旅行の経験もそれほど多くない
この条件に当てはまる方であれば、私は迷わずヨルダンをおすすめします。その理由を、いくつかの視点からご紹介します。
移動のしやすさ
ヨルダンは、北海道ほどの大きさの国です。首都アンマンからどんなに遠い観光地でも、車で4時間半以内に到着できます。
国がコンパクトなため、移動による体力的・精神的な負担が少なく、初めての中東旅行でも無理のない行程を組むことができます。
一方エジプトは国土が広く、観光地間の移動には国内線を使うケースが多くなります。陸路の場合、6〜7時間、場所によっては10時間近くかかることも。
移動が増えるほど、「思っていた以上に疲れる」という声が出やすいのも事実です。
道路事情と運転マナー
ヨルダンの首都アンマンも、エジプトの首都カイロも、渋滞は深刻です。ただし、カイロの規模と交通事情は、アンマンとは比べものになりません。道路状況は、正直に言ってカオスです。
ヨルダンも決して日本のように整然としているわけではありませんが、エジプトと比べると、まだ秩序があります。
もちろん、「ヨルダン=快適」という意味ではありません。そこは中東。多少のカオスは想定内、という心構えは必要です。
見どころの多様性
見どころの「数」で言えば、エジプトもヨルダンも甲乙つけがたいと思います。ただしヨルダンの魅力は、小さな国に驚くほどの多様性が詰まっていることです。
砂漠・紅海・遺跡・自然保護区・死海・温泉・緑豊かな北部地域
「ヨルダン=ペトラ遺跡と死海」そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。確かにそれもヨルダンですが、それはほんの一部にすぎません。
北部には緑豊かな牧歌的風景が広がり、自然保護区では「これぞ中東」という雄大な山岳風景が楽しめます。
ペトラと死海だけを巡る弾丸日程で訪れる日本人の方も多いですが、正直に言うと、私はいつも「なんてもったいない!」と思ってしまいます。ヨルダンは、1週間あっても回りきれない国です。そのため欧米からのリピーターが非常に多いのも特徴です。
私自身、7年間ヨルダンに住み、現在も年に1〜2回は視察で訪れていますが、毎回新しい場所に出会います。
人々のメンタリティと観光整備
ヨルダンは、中東の中でも比較的進んだ国です。特にコロナ以降、観光面での整備が加速し、ツーリスト目線での改善が目立つようになりました。
一方エジプトでは、観光地においても昔ながらの方法が今も多く残っています。アクセスや案内が、必ずしも旅行者目線とは言えない場面もあり、戸惑うことが多くなりがちです。
ただし、これは仕組みの話です。エジプト人そのものが閉鎖的というわけではありません。むしろ、アラブ諸国の中でも非常にオープンマインドで、情に厚く、個人的にはとても好きな人たちです。日常で接するエジプト人は、決して「うざく」ありません。
観光地の仕組みが、そう感じさせてしまうのが残念なところです。
女性一人旅という視点から見た、ヨルダンとエジプト
これまで書いてきたことと少しかぶりますが…「女性一人旅」という視点でヨルダンとエジプトを比べると、よく聞かれるのが「安全ですか?」という質問です。
ただ、実際に現地を見て感じるのは、危険かどうかというよりも、旅のしやすさや疲れ方の違いが大きいと思います。
ヨルダンでは、観光地や都市部で一人で行動している女性旅行者をよく見かけます。そのため、「一人で旅をする女性」に慣れているという背景があります。
一方、エジプトでは、女性一人の場合どうしても声をかけられる頻度が増えがちです。これが「疲れる」「うざい」と感じてしまう原因になることも。
ヨルダンは国自体がコンパクトなので、移動時間が短く、行程に余裕を持たせやすいのも魅力の一つ。移動に追われる感覚が少ないので、弾丸や詰め込み式でない限り、日程には比較的余裕があります。ただペトラ観光には体力が必要なので、思ったより疲れて余裕がない~ということも生じえますけどね。
一方エジプトも、カイロ市内に限れば Uber が一般的で、移動そのものに大きなストレスはありません。ただし街の規模がとにかく大きく、同じ市内の移動でも 40 分から 1 時間ほどかかることは珍しくありません。個人旅行の場合、移動時間を甘く見てしまうと、思った以上に時間と体力を使ってしまうこともあります。
また、カイロを出ると、紅海沿いリゾートのフルガタやシャルム・エル・シェイクを除き Uber はほぼ使えません(2025 年現在)。ですから全くの個人旅行の場合、タクシーとの交渉になります。ただし inDrive というアプリで配車手配ができる観光地もあります。
どちらの国でも、女性一人旅は十分可能です。ただ、中東が初めての方や、一人旅にまだ慣れていない方であれば、移動や行程をコントロールしやすく、人との距離がある程度持ちやすいヨルダンの方が、気持ちに余裕を持って旅を楽しめると思います。
とはいえ、別の記事でも書いていますが、そこはやはりアラブ。YES と NO をはっきり伝え、主導権をこちらが握る姿勢はとても大切です。
まとめ
中東初心者かつ海外旅行の経験がそれほど多くない方には、上記のような理由からヨルダンを強くおすすめします。
小さな国に、魅力がぎゅっと詰まったヨルダン。きっと「中東って面白い」と感じていただけるはずです。実際、お客様の満足度はほぼ 100% なのがヨルダン。
モデルコースについては公式ホームページでご紹介しています。また、ヨルダンの隠れた名所についても、公式サイト・本ブログ・note などで少しずつご紹介していく予定です。どうぞお楽しみに~。
本記事は、2008年より中近東専門で情報発信を行っている Picturesque Levant (公式サイト) が執筆しています。ヨルダン・エジプトの旅のご相談は、公式サイトをご覧ください→こちらから。*アフリカ地域の旅のご相談については、現在準備中です。

