エジプト観光が「うざい」と言われる理由 ― しつこさの正体と対応法

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これは、エジプト推しの筆者が、エジプトが嫌われないように書いたちょっぴり苦い忠告です

エジプトの観光地を歩いていると、いつの間にか誰かがすぐ横に立っていることがあります。

しれっと近寄ってきて、

「どこから来たの?」

「日本人を尊敬してる」

「写真撮る?」

などと話しかけてくる…。

あれ?と思っているうちに、遺跡の説明が始まり、いつの間にか案内されている。

日本人の感覚では、「親切な人だな」「厚意でやってくれているのかな」と思ってしまいます。ところが案内が終わると、「チップ」「少しでいいから」とお金の話が出る。

ここで多くの人は、「頼んでもいないのに案内されて、あとから請求された」「だまされた」と感じます。私も、中東には慣れているはずなのに、エジプトではこうしたシチュエーションに数回遭遇して、後味が非常に悪い嫌な思いをしました。

最初の挨拶からあまりにも自然な流れで案内に入るので、普通の会話をしているのか、案内をされているのか、それすら分からなくなってしまいます。

途中で「これはチップを要求されるかも…」という危機感が思いをよぎりますが、もうかなり来てしまっている…。あとは「どうしよう」「断るべきか、断るならなんというべきか…」という疑問がぐるぐる頭を回り始め、観光どころではありません。

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そして最後にやはりチップを要求されます。渡さないという選択肢もありますが、相手はじっと待っている。これを無視するには、相当の図太さが必要です。渡した後には、自分にも相手にも腹が立ち、「やり方が汚い!」とムカムカ。


彼らは「ボランティア」ではなく「歩合制営業」

でもこの現象は、詐欺というより、“成果報酬型の営業” に近いのが実態です。エジプトの観光地では、話しかける行為そのものが仕事の入り口です。

彼らはこう動きます。

まずフレンドリーに話しかける ⇒ 少しだけ無料で案内する ⇒ 冗談を言って距離を縮める ⇒ そして、相手が嫌がっていない、話を聞いてくれている、足を止めていると分かると、

「この人はいける」

と判断します。

その時点で頭の中で「これは仕事になる」というスイッチが入る。そう、こちらが思っているよりもずっと早く、向こうはビジネスとして関係を見ています。立ち止まり、笑顔で返事をした瞬間に、もう「無料の親切」は終わっています。


日本人が一番ひっかかる理由

日本では、

お金を払う → サービスを受ける

が常識です。でもエジプトの観光地では、

話す → 関係ができる → そのあとでお金

という順番になります。

こちらは「無料の親切」だと思って受け取ったものが、向こうでは「もう契約成立」になっている。

頭の中で起きている流れが、日本人とエジプト人では全く違うのです。


「場の雰囲気を壊したくない」はエジプトでは通用しない

日本人はつい、

嫌な思いをさせたくない

空気を悪くしたくない

まあ少しならいいか

と思ってしまいます。でもエジプトでは、この曖昧さが後でもっと大きな不快感を生みます。

案内を受けたあとでチップを要求され、こちらが戸惑うと、

  • こちら側は「だまされた」と感じる
  • 向こう側は「あの時間は何だったんだ!」と感じる

…と、お互いに気まずくなるからです。この「負のループ」を避けるには…


断ることは失礼ではない

一番いいのは最初の 5 秒で線を引くこと。

“Thank you, but I prefer to look around on my own.” (ありがとう。でも一人でゆっくり見たいです)

“I’m not looking for a guide.”(ガイドは探していません)

これを言うと、ほとんどの人はすっと引きます。なぜなら「仕事にならない客」だと分かるから。

これは冷たさではなく、お互いの時間を無駄にしない合図です。


係員が一番引っかかりやすい理由

エジプトでは、遺跡の係員や警備のような「公式っぽい人」が近づいてくることもよくあります。

日本人はここでガードを下げます。「係員だから安心」と思ってしまうからです。これ、私にも数回起きたこと。

でも彼らも多くは安い給料で働いており、観光客からのチップは大事な副収入です。ツーリストは「収入源」という構造です。だから係員であっても、

「この観光客、いけるか?」

という目でチャンスを見ています。これが、いちばん誤解が生まれやすいポイントです。

とはいえ、欧米の旅行者は最初からこう思っています。

係員=チップを取りに来る人

だから、

近づいてきた瞬間に拒否・使うなら最初に値段交渉

をする。私は欧米人の友達と歩くときに、その割り切り方にいつも驚かされます。いや、決して失礼なわけではない。でも話しかけられても、軽く挨拶するだけで深入りせず、それ以上の関係を一切作らない。

私は中東にこれほど長く住んでいるのに、やはりそこは日本人…。「冷たすぎない?」と思ってしまうのですが、このクールさこそが、エジプトでは自分を守る態度なのです。

もちろん、この仕組みの中には、明確に行き過ぎた要求や詐欺まがいの行為も混ざっています。それは文化ではなく、観光公害です。

使うときは、割り切って最初から「取引」をする

とはいえ、自称ガイドをすべて避ける必要はありません。

彼らは、

  • 地元しか知らない動線
  • 入れない場所の裏口

こういうものを本当に知っています。

「秘密の部屋」や観光客が見逃しがちな場所に連れて行ってくれることもあります。大事なのは、最初からはっきりさせることです。

「案内してほしい」「いくら?」

とこちらから言えば、関係は「よく分からない厚意」から「商取引」に変わります。

ただし、それほど価値のない場所にチップを払いたくないので、本当に価値がある場所かどうか見極めることが大切。私自身、実際に「払ってよかった」と思えた場所もあります。

例えば、カイロ旧市街のムアイッズ通りに関しては、「秘密の部屋」がある場所を note の有料記事で公開しています。

【カイロ旧市街】ガイドブックに載らない al Muizz 通りの歩き方|1000年のカイロを “外さず” 味わう完全ガイド

ご関心がある方は、お読みください。

ヨルダンとエジプトは「親切の意味」が違う

ヨルダンはベドウィン文化が強くて、

旅人をもてなすのは当たり前

見返りを求めない親切が文化として存在する

国です。

だからアンマンの街角や、地方の町で助けてもらったときは、本当に無料の厚意であることが多い。観光地のチップ文化は後から輸入されたものです。

一方エジプトは観光が巨大産業で、

話しかける=仕事の可能性

という世界が、観光地の空気として染みついています。

だから、

  • 係員
  • 警備
  • 売店の人
  • その辺に立っている人

であっても、「これは収入になるか?」という視点で近づいてくる。

だからヨルダンは「読みづらく」、エジプトは「割り切れる」

つまり、

何を考えているかわからない

は、実はヨルダンのほうが当てはまります。

ヨルダンでは:

  • 本当に親切な人もいる
  • でもチップを期待している人も混ざっている

だから判断が難しい。

エジプトでは:

観光地で近づいてくる人=ほぼ全員が何かの収入を期待している

と思っておいたほうが、むしろ対応はシンプルになります。

ちょっと強引かもしれませんが、純粋に親切な人とチップを期待している人とを見分けるのは至難の業ですから、あえてこう書いています。これはあくまで短期間で旅行に来られる方のための指南書であり、住んでみるとエジプト人の別の顔が見えてきます。

ルール化は「場所」でできる

人ではなく、場所で分けると整理できます。

ヨルダンの普通の街 (アンマンなど) → 無料の厚意がまだ生きている。素直に感謝してOK

エジプトの観光地 → ほぼビジネス。最初から線を引くか、取引にする

つまり、エジプトの観光地では「基本はビジネス」と思って行動したほうが、かえって楽になります。

ただしここでも注意をひとこと…。ヨルダンも観光地 (特にペトラ) では、構造はエジプトとほぼ同じと思っていただくほうが良いかと思います。

エジプトは「悪い国」ではない

エジプト人が意地悪なわけでも、だまそうとしているわけでもない。実際、ほとんどのエジプト人は心根のいい人たちです。

私はエジプトに住んでいたのでこれは断言できますが、普通の生活の場では、エジプト人は驚くほど親切です。個人的には、エジプトもエジプト人も大好きです。この点については、このブログの別記事や Newsweek への寄稿記事で扱っています。

エジプトに住んで1年。思っていた以上に「目から鱗」な毎日

エジプト人はアラブなのか? 遺伝的な解析の驚きの結果とは

ただし観光地に立った瞬間、役割が “営業” に切り替わる。

エジプトの観光地では、「誰もが営業マン」になる

このルールを知っていれば、エジプトはウザい国から「攻略できる国」に変わります。その結果、イライラもムカムカも、驚くほど減ります。

最初の 5 秒がすべてを決める!ぜひエジプト観光を楽しんでいただければと思います。

エジプトの治安について知りたい方へ

今回は文化のズレや営業構造についてフォーカスしました。エジプトの治安については、別記事で扱っています。

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