
にほんブログ村

今日もケニアの女性たちは忙しい。山積みになった洗濯物をバケツに入れ、素手でごしごしと力強く洗っていく。
干された洗濯物が風になびく光景は、ここではごく当たり前の日常だ。私が暮らすこの国では、洗濯という家事は今もなお「手仕事」である。
洗濯は、まだ手仕事
ケニアでは、洗濯機はまだ高級品にあたる。多くの家庭では、洗濯はバケツと石鹸が基本だ。
水を汲み、しゃがみ込み、衣類を一枚ずつ洗っていく。分厚いジーンズでさえ例外ではなく、ブラシを使って力強く洗われる。
これだけで、半日があっという間に過ぎてしまう。
物干しロープに並ぶ色
ケニアの暖かい日差しの下、洗い終えた洗濯物が物干しロープいっぱいに並び、風に揺れる。
赤、青、白。
サバンナの空を背景にしたその光景は、少し絵葉書のようにも見える。
しっかり働いた腕はプルプルだけれど、この景色を見るとなぜかホッとする。
太陽と石鹸の匂い
太陽の光でパリパリに乾いた洗濯物には、石鹸のさわやかな香りが残る。この匂いが、私は好きだ。清潔感が半端ない。
思わず顔をうずめてしまうほどの香りだ。
実は洗濯機を持っているケニア人ですら、手洗いを好む傾向がある。手洗いのほうが汚れがよく取れると感じているからだ。実際のところはよく分からないけど…確かに手で丁寧にごしごし洗うほうが汚れが取れている気がする。
それでも洗濯機は必需品
とはいえ、私にとって洗濯機は生活必需品でもある。そんなケニアで選んだのは、懐かしの二層式洗濯機。
30年以上前、日本の実家で使っていたのと同じタイプだ。全自動ではないが、この国での暮らしには十分すぎる相棒である。
半分マニュアル、半分贅沢
洗って、すすいで、脱水して。
少しだけ手を貸しながら使う二層式洗濯機は、ここでの生活にちょうどいい。便利すぎないところが、なぜか落ち着く。洗濯中は目が離せず、脱水槽がゴトンゴトンと変な音を立てることもある。そうなると洗濯機はガタガタと移動し始める。
この不便さが、ケニア人たちの暮らしと自分を、少しだけ近づけてくれる気がする。
サバンナに吹く、ノスタルジー
今日も街のあちこちで洗濯物が風に揺れている。新しいはずの毎日なのに、どこか懐かしい。この洗濯機を使うたび、30年以上前の実家の風景がふとよみがえる。
二層式洗濯機は、私のケニア生活に静かなノスタルジーを運んできてくれた。
本記事は、2008年より中近東専門で情報発信を行っている Picturesque Levant (公式サイト) が執筆しています。ヨルダン・エジプトの旅のご相談は、公式サイトをご覧ください→こちらから。*アフリカ地域の旅のご相談については、現在準備中です。
にほんブログ村

