サバンナに吹く風 第3話「二層式洗濯機とサバンナに吹くノスタルジー」

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今日もケニアの女性たちは忙しい。山積みになった洗濯物をバケツに入れ、素手でごしごしと力強く洗っていく。

干された洗濯物が風になびく光景は、ここではごく当たり前の日常だ。私が暮らすこの国では、洗濯という家事は今もなお「手仕事」である。


洗濯は、まだ手仕事

ケニアでは、洗濯機はまだ高級品にあたる。多くの家庭では、洗濯はバケツと石鹸が基本だ。

水を汲み、しゃがみ込み、衣類を一枚ずつ洗っていく。分厚いジーンズでさえ例外ではなく、ブラシを使って力強く洗われる。

これだけで、半日があっという間に過ぎてしまう。


物干しロープに並ぶ色

ケニアの暖かい日差しの下、洗い終えた洗濯物が物干しロープいっぱいに並び、風に揺れる。

赤、青、白。

サバンナの空を背景にしたその光景は、少し絵葉書のようにも見える。

しっかり働いた腕はプルプルだけれど、この景色を見るとなぜかホッとする。


太陽と石鹸の匂い

太陽の光でパリパリに乾いた洗濯物には、石鹸のさわやかな香りが残る。この匂いが、私は好きだ。清潔感が半端ない。

思わず顔をうずめてしまうほどの香りだ。

実は洗濯機を持っているケニア人ですら、手洗いを好む傾向がある。手洗いのほうが汚れがよく取れると感じているからだ。実際のところはよく分からないけど…確かに手で丁寧にごしごし洗うほうが汚れが取れている気がする。


それでも洗濯機は必需品

とはいえ、私にとって洗濯機は生活必需品でもある。そんなケニアで選んだのは、懐かしの二層式洗濯機。

30年以上前、日本の実家で使っていたのと同じタイプだ。全自動ではないが、この国での暮らしには十分すぎる相棒である。


半分マニュアル、半分贅沢

洗って、すすいで、脱水して。

少しだけ手を貸しながら使う二層式洗濯機は、ここでの生活にちょうどいい。便利すぎないところが、なぜか落ち着く。洗濯中は目が離せず、脱水槽がゴトンゴトンと変な音を立てることもある。そうなると洗濯機はガタガタと移動し始める。

この不便さが、ケニア人たちの暮らしと自分を、少しだけ近づけてくれる気がする。


サバンナに吹く、ノスタルジー

今日も街のあちこちで洗濯物が風に揺れている。新しいはずの毎日なのに、どこか懐かしい。この洗濯機を使うたび、30年以上前の実家の風景がふとよみがえる。

二層式洗濯機は、私のケニア生活に静かなノスタルジーを運んできてくれた。

  

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サバンナに吹く風ーアフリカ
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